核恫喝の時代における日本の覚悟
「国家が滅びない抑止力」を求めて

2025年、中国の外交官による首相個人への暴力的脅迫と、日本を核攻撃対象とみなす発言が現実の外交表現となり、「核恫喝が政治言語化した時代」が到来しました。 この状況下、日本はもはや他国の「核の傘」を信じるだけでは国家を守れません。 平和の理想を維持するためには、理念ではなく、制度・技術・意志による「生き残る力」を構築する現実的な安全保障戦略が不可欠です。

Ⅰ.中国の核恫喝外交と拡大抑止の信頼性崩壊

2025年11月、中国駐大阪総領事・薛剣氏が高市早苗首相に対し「その首を斬る」と投稿した事件は、単なる暴言を超えた外交恫喝であり、国家主権と人間の尊厳を侮辱する行為でした。 中国外務省はこれを擁護し、謝罪を拒否。背後には、中国の核戦力拡大と「日本例外論」による核威嚇戦略の存在があります。

米国の「拡大抑止(extended deterrence)」は日本を守るとされていますが、米中直接衝突のリスクを回避したい米国が即応報復を行う保証は薄れつつあります。 実際、ウクライナが核放棄後に侵略を受けたように、「核を持たない国家は防波堤になるだけ」という冷徹な事実が再確認されています。 これが現在の拡大抑止の信頼性喪失です。

中国の核拡大状況(2025年推定)

項目中国の現状比較(米国)
核弾頭数600発以上(SIPRI推定)約5,000発
増加ペース年間80~100発増維持・近代化重視
配備手段ICBM・SLBM・爆撃機・極超音速兵器三位一体維持
2035年目標1,500発規模可能性(米国防総省)抑制基調

中国は核を外交・心理戦の道具として用い、日本に対する恫喝を繰り返しています。 この背景には、「台湾有事で日本が介入すれば核攻撃する」という戦略的宣伝が繰り返されており、通常外交の限界が露呈しています。

Ⅱ.「核攻撃にも国家が滅びない」ための戦略的備え

国家が攻撃を受けた際、真に抑止力となるのは「報復可能性の現実性」です。 戦略核は全面戦争を招く危険が高いのに対し、戦術小型核(1~10キロトン級)は限定的抑止と即応に適し、現代の核抑止の中核になっています。

戦略核と戦術小型核の比較

分類威力・目的日本への適合性
戦略核都市壊滅・全面戦争用高リスク・抑止過剰
戦術小型核限定破壊・局地抑止核使用の閾値引下げ防止、即応可能

「使わせないために、使える核を持つ」――これが現代抑止論の原理的転換です。 核を撃たせないためには敵に「撃ち返される」と信じさせる必要があり、その信念を実体化するのが小型核の保有です。 国土存続を保障する技術・システム(指揮分散・地下化・サイバー防御)と並行し、限定的反撃能力を備えることで、「日本は核攻撃を受けても国家として死なない」構造を実現できます。

Ⅲ.属国化と核戦争 ― 二重の最悪シナリオ

核を持たない日本が進む道は二つしかありません。 一つは米国の核傘依存を信じ、属国状態を受け入れる道。 もう一つは中国の核威圧に屈し、経済・政治的に半属国化する道です。 どちらも、国家の主権を奪い、独立国としての死を意味します。

独自の核抑止力構築は、この二重の最悪シナリオを回避する唯一の現実的選択肢です。 技術的には日本は既に十分な基盤を持ち(プルトニウム保有45トン、ICBM製造技術保有)、短期に防衛抑止体制を構築できます。 NPT体制からの脱退は最後の手段ですが、国家存亡においては合法的手続きに基づく再検討も現実論として必要です。

Ⅳ.BRICSへの影響 ― 新たな核秩序の分岐点

BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ、さらに拡大加盟国群)は、非西側主導の多極秩序を志向するが、その中核を成すのは「核保有国の重層的結合」です。 特に中国とロシアがBRICS枠内で「核外交とエネルギー支配」を結合させている現状は、BRICSが経済圏のみならず、安全保障共同体化の兆しを示しています。

これに対し、日本の核抑止再構築は、BRICS内部バランスに二重の影響を及ぼします。

つまり、日本の独自核抑止は、BRICS世界における「核秩序再編の触媒」として作用する。 それは西側主導の核不拡散体制(NPT)に揺さぶりをかけ、多極世界の新・抑止均衡モデルの形成を加速させるものです。これらの要因は中国の日本に対する核の恫喝なのですーー次は自分かもしれない!?

Ⅴ.日本への影響 ― 主権・安全保障・国際的地位の再定義

日本が核抑止力を自立的に保有すれば、ただ軍事的安全を強化するだけでなく、国際政治上の「地位の再定義」が起こります。

被爆国としての歴史的責任は重い。しかし、核抑止は「核を使わないための核」であり、理想の平和を現実の力で守る手段です。 国家の死を防ぐための核であり、日本が語る「平和」は、現実の抑止力に支えられる時代を迎えています。

結論:平和の理想を守るための「核の現実」

日本が追求すべき平和は、単なる「非核の信仰」ではなく、「国家が滅びない平和」です。 この平和を維持するためにこそ、最小限抑止としての戦術小型核の配備論議を現実的政策課題として進める必要があります。 核を持つことは戦争を望むことではなく、戦争を不可能にする意思の表現です。 覚悟ある国家だけが、真に平和を守れるのです。